「水を飲めば健康にいい」と「ダイエットや美容のためにはまず1日2ℓ水を飲むべき」と言われるけど、なぜ水を飲まなくてはいけないのか理解している人はどれくいいるのかな?
また「冷たい水や飲みすぎは胃腸を冷やして悪い」などデメリットもよく聞くけど結局どっちなんて思うこともしばしばあると思う。
なので本記事では、科学的エビデンスに基づいて
👉 水を多く飲むことで起こる体の変化
👉 TDEE(総消費カロリー)との関係
👉 冷たい水と常温水の違い
👉 「冷たい水は腸に悪い」は本当か?
を徹底解説していく。
60秒でわかるこの記事のポイント!
- 水を飲むと代謝が上がり、500mLでTDEEが約30%上昇(※1)
- 食前の飲水は摂取カロリー減&体重減少を促す(※2)
- 冷たい水は“わずかに”TDEEが上がりやすいが、差は小さい
- 「冷たい水で腸が冷えて悪影響」という強い科学的エビデンスはなし
- 一部の人(IBSなど)は冷水で症状が出る可能性あり
- 飲む水の温度より**総飲水量(体重×30〜40mL)**のほうが重要
水を多く飲むことで得られる健康効果
1. 代謝アップ(TDEE上昇)
人間の体には恒常性という機能が備わっていて、寒い環境下でも体温を37℃に保つ機能がある。
そのため、冷たい水を飲むと、体は水を37℃まで温めるためにエネルギーを消費します。
これを 水誘発性熱産生(Water-induced thermogenesis) と呼びます。
研究では
👉 500mLの水を飲むと代謝が約30%増加し、60〜90分持続(※1)
この効果は“水熱効果(ウォータートリートメント)”と呼ばれます。
まとめると:
500mLの水 → 24〜30kcal程度の消費増
1日2回飲めば → 約50〜60kcalアップ(1ヶ月約1500kcal)
これはめちゃくちゃダイエット的に見ると大きな加点。
水を飲むだけでカロリーを消費できるって驚きだよね。
2. 食欲抑制(食前飲水で摂取カロリーが自然に減る)
食前に水を飲むと胃が物理的に満たされ、食欲抑制が起こります。
12週間の研究では
👉 食前に500mLの水を飲むグループは、
👉 飲まないグループより約2kg多く体重が減少(※2)
500mlって結構な量だけど、シンプルながら再現性の高い行動です。
3. 脂肪燃焼のサポート
脂肪の分解には
脂肪 → 脂肪酸へ 分解する「リパーゼ」が必要です。
リパーゼは水環境で働くため、水分不足状態だと
✔ 脂肪分解が停滞
✔ 疲れやすい
✔ 運動時のパフォーマンス低下
逆に水が十分にあると、脂肪酸の動きがスムーズになり
👉 運動時の脂肪燃焼効率が向上します(※3)
ランニング・HIIT・筋トレする人にとっては必須。
普段から代謝を落とさないために水分はこまめにとるのがgood!
4. むくみ改善・老廃物排出
むくみの原因の多くは
「水が体に溜まっている」のではなく、
水分不足による濃縮です。
水が足りない
→ 体は水を溜め込む
→ 余計にむくむ
十分に水を飲むと
👉 血流改善
👉 ナトリウム排出
👉 尿量アップ
で逆にむくみは取れていきます。
5. 集中力・疲労感の改善
体の水分が1〜2%失われるだけで
✔ 集中力低下
✔ 作業効率低下
✔ 疲れやすさ
✔ 頭痛
✔ イライラ
が起こることがわかっています(※4)。
逆にこまめに水を飲むと
👉 脳のパフォーマンスが安定
👉 認知機能アップ
👉 眠気が薄れる
デスクワーク勢には特に大事。
6. 便秘改善(腸内水分が増えて動きがスムーズ)
腸は「水がないと動かない臓器」。
特に
✔ タンパク質多め
✔ 食物繊維を意識的に増やしている
ダイエッターは腸内水分が不足しやすい。
水を増やすことで
👉 便の柔らかさが改善
👉 排便回数が安定
👉 腸内環境にもプラス
7. 肌のバリア機能を保つ
肌の角質層は、水分量が10%以下になるとバリア機能が急激に低下します。
その結果、
✔ 肌荒れ
✔ 乾燥
✔ くすみ
が目立つようになります。
水を増やすことで
👉 血流改善
👉 皮膚への水輸送が安定
👉 ターンオーバーの正常化
化粧ノリも良くなり、肌の透明感が出やすくなります。
冷たい水と常温水、どっちが良い?
【結論】TDEE(代謝)目的なら冷水が“わずかに”有利
水を温める過程で熱が使われるため、
冷たい水ほど代謝が微増します。
500mLの温度別の消費カロリー
- 22℃の水 → 37℃へ温める → 約7.5kcal消費
- 30℃の水 → 37℃ → 約3.5kcal
その差は 約4kcal。
科学的には“微差”です。
冷水=痩せる
常温=太る
こうした極端な話ではありません。
「冷たい水は腸を冷やして悪い」は本当か?
✔ 結論:強い科学的エビデンスは「ない」
「冷たい飲み物が腸を冷やして消化吸収が落ちる」
「胃腸が弱くなる」
といった主張は、中医学や民間的な考え方に由来するもの。
現代医学では、腸の温度は
✔ 血流
✔ 代謝熱
によってすぐに体温(37℃)へ戻されます。
【弱いエビデンス】短期的な影響は存在する
科学的には、以下のような短期的な反応は確認されています。
① 胃の血流が一時的に低下
研究(Smeets et al., 2012)
→ 4℃の水で胃血流が一時的に減少
→ すぐに回復し、消化機能への長期的悪影響なし
② 胃排出速度がわずかに遅くなる可能性
冷水は、
➡ 食べ物が腸へ移動する速度(胃排出能)を数分レベルで遅らせる
という報告が一部あります。
しかし、これは
- 臨床的に問題なし
- むしろ食後血糖値を抑えるメリットにもなり得る
③ IBS(過敏性腸症候群)の人だけは影響あり
研究(Zhang et al., 2016)
→ IBS患者は寒冷刺激で
・腹痛
・下痢
が起こりやすくなる傾向。
つまり、
健康な人 → 問題なし
IBS持ち → 冷水で症状が誘発される可能性
つまり冷水は「健康な人に悪影響なし」。IBSのみ注意
- 腸が“冷えたまま”になることはない
- 栄養吸収が落ちるという明確なエビデンスもない
- 冷水の悪影響は短時間・軽度の生理反応のみ
- 健康な人は冷水でも常温水でも問題ない
- 代謝(TDEE)は冷水が微妙に有利
- 胃腸が弱い人・IBSは常温〜温水が無難
“腸が冷える=悪”という言説は、科学ではなく文化的背景に近い。
まとめ
水を増やすことは、代謝アップ・脂肪燃焼効率改善・食欲抑制・集中力向上・むくみ改善など、全身に多くの健康効果をもたらします。
冷水と常温水の違いについては、
- 冷水は体を温めるためにエネルギー消費が発生し、TDEEがわずかに上がる
- ただし差は4kcal程度と“微差”
- 「冷たい水が腸を冷やす」という強い科学的根拠は存在しない
- 医学的には腸温はすぐに体温へ戻る
- 胃血流や胃排出能の変化は短期的・軽度
- IBS(過敏性腸症候群)の人は冷水で症状が出る可能性がある
というのが現時点の科学的な結論です。
つまり、
冷水=悪という考えは医学的には誤りであり、
健康な人はどちらの温度でも“総飲水量が足りるか”の方が圧倒的に重要です。
参考文献
※1:Boschmann M, et al. Water-induced thermogenesis. J Clin Endocrinol Metab.
※2:Dennis EA, et al. Water consumption increases weight loss. Obesity.
※3:Sawka MN, et al. Exercise, hydration, and fat metabolism.
※4:Ganio MS, et al. Mild dehydration and cognitive performance. Br J Nutr.
※5:Smeets AJ, et al. Cold water ingestion and gastric blood flow.
※6:Zhang L, et al. Cold stimulus and IBS symptoms.
免責事項
本記事は最新の研究に基づき作成していますが、医療行為を目的としたものではありません。
既往症・持病・薬の服用がある方は、必ず医療機関へ相談のうえ実践してください。




