糖は摂っても出せばいい!SGLT2阻害剤によるダイエット|効果・副作用・注意点を徹底解説

「糖を尿から出すことで痩せる薬がある」──そう聞くと驚く方も多いのではないでしょうか。
それが SGLT2阻害剤 と呼ばれる薬です。

もともとは糖尿病の治療薬として開発されましたが、体重や内臓脂肪を減らす効果も注目され、肥満治療やダイエット目的で関心を集めています。
しかし一方で、副作用やリスクもあり、正しい知識なしに使うのは危険です。

この記事では、SGLT2阻害剤の仕組み・効果・副作用・代表的な薬について、わかりやすく解説します。


目次

1分でわかるSGLT2阻害剤

  • 作用機序:腎臓での糖再吸収をブロックし、余分な糖を尿に排出することで血糖値を下げ、体重減少を促す
  • 効果:体重の約2〜3kg減、内臓脂肪減少・心血管リスク低下の報告あり
  • 代表薬:フォシーガ、ジャディアンス(その他:スーグラ、カナグル、ルセフィなど)
  • 副作用:尿路感染症・頻尿・脱水、まれにケトアシドーシス
  • まとめ:ダイエット効果は中程度だが、糖質代謝や生活習慣病リスク改善に大きなメリット。必ず医師管理下で使用

SGLT2阻害剤とは?

SGLT2の働き

腎臓には「SGLT2」という輸送体があり、血液からろ過された糖の約90%を再吸収しています。

SGLT2とは?

SGLT2(ナトリウム・グルコース共輸送体2)とは?
腎臓の尿細管に存在する「糖を再吸収するためのタンパク質」です。
血液から一度尿としてろ過されたブドウ糖の約90%を、再び体内に戻す役割を担っています。

つまり、本来はエネルギー源である糖を無駄にしないための仕組みですが、これが「肥満や糖尿病の背景要因」にもなります。

SGLT2阻害剤はこの働きをブロックすることで、糖を体外に排出し、

  • 血糖値を下げる
  • 余分なカロリーを減らす
  • 体重を減少させる

といった効果を発揮します。

阻害剤の仕組み

SGLT2阻害剤はこの働きをブロックし、余分な糖を尿に排出します。
その結果:

  • 血糖値が下がる
  • 余分なカロリーが体外に出る
  • 徐々に体重や内臓脂肪が減る

👉 まさに「尿から糖を出して痩せる薬」として注目されています。


効果:どのくらい痩せるのか?

臨床試験の結果では:

  • 体重は平均で 約2〜3kg減少
  • 内臓脂肪・皮下脂肪ともに減少
  • 心不全や腎機能悪化のリスクを抑える効果も報告

👉 GLP-1受容体作動薬ほど強力ではありませんが、「生活習慣病リスク改善+軽度の減量効果」という特徴があります。


フォシーガ(ダパグリフロジン)

  • 世界的に最も使用実績の多いSGLT2阻害剤
  • 適応:糖尿病だけでなく、心不全・慢性腎臓病にも使用可能
  • ダイエット効果:体重2〜3kg減少+内臓脂肪減少の報告あり
  • メリット:糖尿病合併のある肥満症患者に特に有効
  • 副作用:尿路感染症・頻尿・脱水リスク
  • 費用:自由診療では月◯〜◯万円程度(クリニックにより差あり)

👉 「糖尿病+肥満症」に悩む方に最も処方されやすい代表的な薬です。


ジャディアンス(エンパグリフロジン)

  • 心血管保護効果に強みがあるSGLT2阻害剤
  • 臨床試験で「心不全の死亡リスク低下」が確認されている(※1)
  • ダイエット効果:フォシーガと同程度で2〜3kg減
  • メリット:糖尿病・心血管疾患リスクを抱える肥満患者に有効
  • 副作用:尿路感染症・脱水に注意
  • 費用:自由診療で月◯〜◯万円程度

👉 「肥満+心疾患リスク」を抱える人に特に検討されやすい薬です。


その他のSGLT2阻害剤

  • スーグラ(イプラグリフロジン):日本で開発された薬
  • カナグル(カナグリフロジン):糖尿病性腎症にも適応
  • ルセフィ(ルセオグリフロジン):日本発の新しいSGLT2薬

👉 一般的な知名度や使用実績はフォシーガ・ジャディアンスより低めです。


副作用とリスク

  • よくある副作用:尿路感染症、性器感染症、頻尿、脱水
  • 重篤なリスク:糖尿病性ケトアシドーシス、腎機能悪化
  • 注意点:高齢者・水分摂取不足の方は脱水リスクが高まる

👉 「尿に糖が増える=菌が繁殖しやすい」ため、清潔管理と水分補給が重要です。


生活習慣改善との併用がカギ

  • 食事:糖質コントロール、過度な糖質制限は避ける
  • 運動:ウォーキングや筋トレで基礎代謝UP
  • 水分補給:副作用予防のために必須

👉 薬に頼るのではなく、生活改善とセットでこそ効果が持続します。


まとめ

  • SGLT2阻害剤は「尿から糖を出して痩せる」薬で、体重減少+生活習慣病リスク改善に有効。
  • フォシーガとジャディアンスが代表格。ダイエット+生活習慣病リスク改善を狙う場合、この2剤が中心。
  • 減量効果は中程度(平均2〜3kg)だが、心血管・腎臓保護効果が大きな魅力。
  • 副作用として尿路感染症・脱水・ケトアシドーシスに注意。
  • 自己判断ではなく、必ず医師管理下での使用が必要。

参考文献

※1:Zinman B, et al. “Empagliflozin, Cardiovascular Outcomes, and Mortality in Type 2 Diabetes.” N Engl J Med. 2015.
※2:Wiviott SD, et al. “Dapagliflozin and Cardiovascular Outcomes in Type 2 Diabetes.” N Engl J Med. 2019.
※3:厚生労働省 医薬品医療機器総合機構(PMDA)「SGLT2阻害剤 添付文書」
※4:日本糖尿病学会「SGLT2阻害薬の適正使用指針」


免責事項

本記事は一般的な情報提供を目的としており、特定の治療法や薬を推奨するものではありません。
薬の使用にあたっては必ず医師の診断を受け、指導に従ってください。
個人の健康状態や治療効果を保証するものではありませんので、あらかじめご了承ください。

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