免疫を「上げる」ではなく「整える」——エビデンスでわかる食事と栄養ガイド


最近、風邪をひきやすい・疲れが抜けない・肌荒れが増えた——
それ、「免疫のバランス」が崩れているサインかもしれません。

「免疫力を上げる」とよく言われますが、実際は“過剰でも不足でもダメ”。
大切なのは**「免疫を整える」**ことです。

この記事では、エビデンスに基づいて
👉免疫の仕組み
👉食事・栄養で整えるポイント
👉不足しがちな成分と摂り方
をわかりやすく解説します。


目次

60秒でわかるこの記事のポイント!

  • 免疫の7割は「腸」でつくられる
  • 不足しやすいのは ビタミンD/亜鉛/鉄/セレン
  • 「上げる」ではなく「整える」ことが重要
  • 食事が基本、サプリは“保険”として使う
  • 睡眠・ストレス・腸活も免疫バランスに直結

第1章:免疫とは?体を守る“二段構えの防御システム”

私たちの体は、外敵(ウイルス・細菌)から身を守るために
自然免疫獲得免疫という2つの仕組みを持っています。

💡用語解説

  • 自然免疫:皮膚・粘膜・白血球などがすぐに反応する“即時防衛”
  • 獲得免疫:一度戦った相手を記憶し、次回から効率的に攻撃する“エリート部隊”

この2つのバランスが崩れると、
「風邪をひきやすい」「炎症が長引く」などの不調が出やすくなります。


第2章:免疫が落ちる主な原因

原因内容改善ポイント
睡眠不足サイトカインの分泌が乱れ、免疫細胞の再構築が妨げられる7時間前後の睡眠を目安に、深い眠りを確保
栄養不足タンパク質・ビタミン・ミネラルが足りないと免疫細胞が作れない食事の主役を「タンパク質中心」に
ストレスコルチゾールが免疫を抑制軽い運動・呼吸法・趣味時間でリセット
腸内環境の乱れ腸内フローラのバランスが免疫に直結発酵食品+水溶性食物繊維を意識
過度なダイエット摂取エネルギー不足で防御機能が低下「食べながら整える」方向に切り替える

第3章:免疫を支える栄養素と食材

栄養素主な働き含まれる食材補足ポイント
ビタミンC抗酸化・免疫細胞の防御強化キウイ、赤ピーマン、ブロッコリー水溶性のため“こまめ摂取”が◎
ビタミンD免疫細胞の活性を調整鮭、卵、きのこ類日光×脂質で吸収UP
ビタミンE抗酸化・細胞膜保護アーモンド、アボカド、植物油ビタミンCと組み合わせると相乗効果
亜鉛白血球・酵素の材料牡蠣、赤身肉、納豆ダイエット中に不足しやすい
酸素供給・免疫細胞活性レバー、豆類、ほうれん草ビタミンCと一緒で吸収率UP
セレン抗酸化酵素(グルタチオンペルオキシダーゼ)の材料卵、ツナ、にんにく摂りすぎ注意(上限あり)

🧩ポイント
「免疫サプリを探す前に、まず“食材のバランス”を整える」ことが最優先。
サプリはあくまで食事の補助輪です。


第4章:腸活が免疫を整えるカギ

腸は“最大の免疫臓器”。
全免疫細胞の約7割が腸に集まっています。

つまり、腸が乱れれば免疫も乱れます。

整えるポイントは2つ👇

  1. 発酵食品を毎日1品(納豆・味噌・ヨーグルトなど)
  2. 水溶性食物繊維を1日3〜5g(オートミール・海藻・野菜類)

💡豆知識
腸内の“善玉菌”は免疫細胞に「敵を攻撃せよ」「もう十分」と信号を出す存在。
腸を整える=免疫を整える、というのは理にかなっています。


第5章:サプリメントで補うならここに注意

食事で不足しやすい栄養素は「ビタミンD・亜鉛・セレン」。
これらを補う目的でのサプリ活用は有効です。

ただし、

  • 摂りすぎは逆効果になる(特に脂溶性ビタミン)
  • 長期摂取は医師・薬剤師に相談を

また、NAC(N-アセチルシステイン)やエキナセア、β-グルカンなどは
「免疫サポートの可能性がある」ものの、臨床的な確立までは不十分

サプリ選びには以下の記事を参考!


まとめ:免疫は“鍛える”より“整える”

免疫を整えることは、
「病気を防ぐ」だけでなく、「太りにくく、肌が荒れにくく、疲れにくい体」を作ること。

今日の食事に、
✅発酵食品をひとつ
✅ビタミンCを多く含む果物をひとつ
足すだけでも立派な免疫ケアです。

小さな積み重ねが、体の守りをつくります。


参考文献

  1. Calder PC. Nutrition, immunity and COVID-19. BMJ Nutrition, 2020.
  2. Gombart AF, Pierre A, Maggini S. A Review of Micronutrients and the Immune System. Nutrients, 2020.
  3. 厚生労働省 e-ヘルスネット「免疫機能の仕組み」
  4. 日本人の食事摂取基準(2025年版)

免責事項

本記事は一般的な栄養情報をもとに構成しています。
疾患の診断・治療を目的とするものではありません。
体調に不安がある場合は、必ず医療機関にご相談ください。

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