ゼロ飲料・ゼロチューハイの“ほんとのところ”をやさしく解説
ゼロカロリー飲料やゼロチューハイって本当に太らないの?
「ゼロだから太らない」は本当? そう思って飲んでいるのに、体重があまり減らない——そんな声をよく聞きます。
まず知っておきたいのは次の2つです。
- “ゼロ”は完全に0kcalではないことがある(飲料は100mLあたり5kcal未満でも“ゼロ”と表示OK)。
- ゼロ“チューハイ”は糖類ゼロでもアルコールにカロリーがある(1gあたり約7kcal)。
その上で、砂糖入り飲料をゼロ飲料に置き換えると体重管理にはちょっと有利。ただし、万能ではなく飲み方次第です。
1分要約(利点・注意点・安全性)
- 利点:砂糖の代わりに使うと摂取カロリーを減らしやすい。血糖の急上昇も避けやすい。
- 注意点:
- ゼロ表示でもわずかなカロリーはあり得る。
- 炭水化物と一緒にとると、血糖・インスリン反応が悪化する人もいる。
- ゼロチューハイはアルコール分のカロリーに注意。
- 安全性:国際機関(JECFA、FDA、EFSA)は定められた量(ADI)内なら安全と評価。種類ごとの目安は下記。
用語メモ:ADI
「1日摂取許容量」。体重1kgあたり、毎日一生とっても安全と考えられる上限の目安。
人工甘味料の種類
- スクラロース:砂糖の約600倍の甘さ。加熱OK。
- アセスルファムK:キレのある甘さ。ブレンド利用が多い。
- ステビア(ステビオール配糖体):植物由来。後味にやや特徴。
- エリスリトール:糖アルコール。0kcalに近く血糖への影響が小さいが、大量でお腹がゆるくなる人も。
人工甘味料と血糖値・インスリン反応
人工甘味料は基本的に血糖を直接は上げにくいのがメリット。
ただし——
- 甘い味だけでも“準備のインスリン”が少し出る人がいる。
- とくに炭水化物(パン・麺・米など)と一緒にとると、インスリンの効きが下がると報告された研究もある。
結論:単体で飲むなら問題は起こりにくいが、食事中の“甘いゼロ飲料”は控えめにが無難。
人工甘味料と食欲(科学的エビデンスの要点)
- 砂糖入り→ゼロ飲料への置き換えは、総カロリーが下がり体重も少し下がりやすい傾向。
- 水と比べると、長期試験でほぼ同じか、わずかにゼロ飲料が有利という結果も。
- 一方、“甘い味に慣れる”と甘味を欲しやすくなる人もいる。
つまり:毎日何本も飲むより、「欲しい時に1本」へ頻度を下げるのがコツ。
安全性と摂取許容量(JECFA、FDA、EFSAの基準)
体重1kgあたり/日の目安(抜粋)
- スクラロース:5〜15mg(機関により範囲の違いあり)
- アセスルファムK:15mg
- ステビア(ステビオール換算):4mg
- アスパルテーム(参考):40〜50mg(機関により範囲の違いあり)
- エリスリトール:明確なADIなし(大量で胃腸症状に注意。心血管リスク研究は結論が出ておらず議論中)
用語メモ:ゼロ表示
飲料は100mLあたり5kcal未満なら「0kcal」表記が可能。大量に飲むと合計カロリーは増える点に注意。
ダイエット中の上手な使い方(ゼロ飲料の選び方・摂取頻度)
使い方の原則
- 砂糖入りをやめる → 2) 水・無糖が基本 → 3) どうしても甘い時はゼロに置き換え。
選び方のコツ
- 原材料表示で「スクラロース/アセスルファムK/ステビア/エリスリトール」などを確認。
- **デキストリン等の炭水化物が入った“ゼロ”**は、食事中は避ける(炭水化物+甘味の組み合わせを減らす)。
- カフェインは就寝前は控える。ナトリウムも摂りすぎ注意。
頻度の目安(例)
- 平日は無糖を標準。欲しい時だけ1本のゼロ。
- 週末も1〜2本までにして、“甘い味の頻度”を下げる習慣を作る。
ゼロ“チューハイ”の注意
- 糖類ゼロでもアルコールで必ずカロリーを摂る。本数が増えると体重は落ちにくい。
- 飲まない日を週に作る/飲む日は本数と度数を決めるのが減量には近道。
まとめ
- 太るか?——砂糖飲料をゼロに置き換えると“少し”有利。でも魔法ではない。
- ポイントは“頻度”と“文脈”:食事中のゼロは控えめに、普段は無糖、必要な時だけ1本。
- 安全性は決められた量の範囲内なら概ね安心。ただし**新しい研究(例:エリスリトール)**は今後もチェック。
- 結局は総カロリー設計。飲み物だけでなく、食事・間食・お酒まで含めて整えるのが近道。
参考文献
※1:WHO. Guideline: Use of non-sugar sweeteners(2023)
※2:Harrold JA, et al. International Journal of Obesity(長期RCT:NNS飲料 vs 水は同等〜わずかにNNS有利)
※3:Toews I, et al. BMJ(2019:非糖質甘味料の健康影響レビュー)
※4:Pepino MY, et al. Diabetes Care(2013:スクラロース前処理でインスリン反応↑の報告)
※5:Dalenberg JR, et al. Cell Metabolism(2020:スクラロース+炭水化物でインスリン感受性低下)
※6:Suez J, et al. Cell(2022:NNSの耐糖能影響は腸内細菌に依存する個別性)
※7:JECFA/EFSA/FDA 公的資料(各甘味料のADI:スクラロース、アセスルファムK、ステビア、アスパルテーム 等)
※8:Witkowski M, et al. Nature Medicine(2023:エリスリトールと心血管イベントの関連。因果は未確定)