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「ダイエットをしてもなかなか脂肪が落ちない」
「部分痩せをしたいけど、運動や食事制限だけでは限界を感じる」
そんな悩みに人気なのが**脂肪溶解注射(メソセラピー)**です。「切らない」「手軽」といったメリットが謳われ、美容クリニックでも人気の施術ですが、本当に効果はあるのでしょうか? そして、痛みやリスク、費用といった不安な点についても、正確に知りたいですよね。
近年は「BNLS」や「カベリン」など新しい薬剤も登場し、美容クリニックでも広く使われています。
この記事では、仕組み・効果・副作用・費用・薬剤の種類・脂肪吸引との違い・よくある疑問を、科学的根拠(エビデンス)とともに解説します。

60秒でわかる!この記事のポイント
- 脂肪溶解注射は脂肪細胞を壊す薬を注射する施術
- 効果は「部分痩せ」向きで、全身ダイエットには不向き
- 主成分は「デオキシコール酸」や「フォスファチジルコリン」
- 効果は数回の施術で徐々に実感(※2, ※3)
- ダウンタイムは腫れ・痛み・赤み(数日〜1週間)
- 費用は1回あたり数万円、合計で数十万円になることも
- 医師の診断と手技が結果を大きく左右する
脂肪溶解注射とは?
脂肪溶解注射は、脂肪細胞を直接壊したり縮小させる薬剤を皮下に注入する治療です(※1)。
💡 簡単にいうと
「脂肪を壊す薬をピンポイントで注射して、その部分だけ脂肪を減らす」イメージ。
食事や運動では落としにくい二重あご・フェイスライン・小腹などに適しています。
使用される主な薬剤
デオキシコール酸(Deoxycholic acid)
- 胆汁酸の一種で、脂肪細胞の膜を破壊する作用(※1, ※2)
- FDAが**「Kybella」**として承認済み
- 顎下脂肪の臨床試験(REFINE-1, REFINE-2)で有効性が確認されています(※2, ※3)
💡 FDAとは?
アメリカで薬や医療機器、食品、化粧品などの安全性と有効性を審査・承認する国の機関。
日本でいうと「厚生労働省+PMDA(医薬品医療機器総合機構)」のような役割に近い存在です。
フォスファチジルコリン(Phosphatidylcholine / PPC)
- 大豆由来のリン脂質で、脂肪を乳化して処理しやすくする働き(※6, ※7)
- かつて広く使われましたが、現在では有効性のエビデンスは弱め
💡 乳化とは?
油が水に混ざるように、脂肪を細かく分解して代謝されやすくすること。
BNLSシリーズ(BNLS neo / Ultimate)
- デオキシコール酸を低濃度配合+植物エキスをブレンド
- 腫れが少ないと宣伝されますが、大規模な臨床試験は少ない(※11)
カベリン(Kabelline)
- デオキシコール酸を主成分とする改良型製剤
- 「腫れが少ない」とされますが、FDA承認レベルの臨床データは未整備(※12)
効果とエビデンス
- Kybella(デオキシコール酸製剤)はFDA承認済み(※1, ※5)
- 顎下脂肪の臨床試験(REFINE-1)では、4回以上施術した患者の多くで顎下脂肪の改善が報告(※2)
- 顎下脂肪の臨床試験(REFINE-2)でも同様の有効性が確認され、MRI解析でも脂肪減少が裏付けられています(※3, ※4)
- ただし体重を減らす効果はなく、部分痩せ専用です
副作用とリスク
よくある副作用(数日〜1週間)
- 腫れ・赤み・痛み(※2, ※3)
- 内出血
- 硬さ・しこり感
まれな副作用
- 神経損傷による一時的なしびれ・口角の下がり(※10)
- アレルギー反応
- ごくまれに皮膚壊死
💡 ポイント
腫れが強いため「最初はむしろ太ったように見える」こともありますが、数日〜1週間で改善します。
費用の目安
- 1回あたり:1〜5万円程度
- 推奨回数:3〜5回程度(※2, ※3)
- 合計で数十万円になることも
脂肪吸引に比べれば安いですが、繰り返し必要なので最終的なコストは高額になりやすいです。
脂肪溶解注射と脂肪吸引の違い
| 項目 | 脂肪溶解注射 | 脂肪吸引 |
|---|---|---|
| 方法 | 薬剤を注射 | 外科手術で脂肪を吸い出す |
| 効果 | 部分痩せ、小規模 | 大量の脂肪除去が可能 |
| ダウンタイム | 数日〜1週間 | 2週間以上 |
| 費用 | 数万円〜数十万円 | 30〜100万円以上 |
| リスク | 腫れ・痛み | 出血・感染・凸凹など大きめ |
よくある疑問Q&A
Q. 1回で効果は出ますか?
A. 小範囲ならスッキリする人もいますが、基本は2〜3回以上で実感するケースが多いです(※2, ※3)。
Q. 効果は永久ですか?
A. 壊れた脂肪細胞は再生しません。ただし残った細胞は肥大するため、体重増加で戻ることはあります(※4)。
Q. ダウンタイムはどのくらい?
A. 注射直後〜48時間が腫れのピーク。その後1週間前後で落ち着きます(※2)。
Q. どの薬剤を選ぶべき?
A. 最も信頼できるのはデオキシコール酸製剤(Kybella/Belkyra)。
BNLSやカベリンは「腫れが少ない」メリットがありますが、臨床データは弱めです(※11, ※12)。
Q. 全身ダイエットに使えますか?
A. 使えません。部分痩せ専用で、体重減少には医療ダイエット薬や脂肪吸引が必要です(※6, ※8)。
まとめ
脂肪溶解注射は、全身の体重を落とすのではなく、「ここだけ」と狙った部位の脂肪を減らすには有効な選択肢です。特に、世界的に信頼されている「デオキシコール酸」を主成分とする製剤は、その効果が複数の臨床試験で証明されています。
しかし、過度な期待は禁物です。これはあくまで医療行為であり、医師の技術や経験によって結果が左右されることも事実です。また、副作用や費用についても正しく理解しておく必要があります。
この記事で解説したエビデンスを参考に、脂肪溶解注射があなたの悩みを解決するのに適した手段かどうかを冷静に判断してください。そして、もし興味を持ったなら、まずは信頼できるクリニックで専門医に相談し、ご自身の体質や目標に合った治療法を見つける一歩を踏み出してみましょう。
参考文献
※1 US FDA. “KYBELLA(deoxycholic acid) Prescribing Information.”
※2 Jones DH, et al. REFINE-1: Phase 3 trial of ATX-101 for submental fat. J Am Acad Dermatol. 2016.
※3 Humphrey S, et al. REFINE-2: Phase 3 trial of ATX-101. Dermatol Surg. 2015.
※4 Shamban AT, et al. Noninvasive Submental Fat Treatment Review. J Drugs Dermatol. 2019.
※5 FDA Original Label 2015.
※6 Thomas MK, et al. Systematic review of injection lipolysis. Plast Reconstr Surg. 2013.
※7 Rotunda AM, Kolodney MS. Phosphatidylcholine injection fat reduction. Dermatol Surg. 2006.
※8 ASPS Policy Statement on Mesotherapy/Injection Lipolysis. 2011.
※9 DermNet NZ: “Deoxycholic acid injection.”
※10 Shridharani SM, et al. Complications of injectable deoxycholic acid: Systematic review. Aesthet Surg J. 2024.
※11 日本美容外科学会 脂肪溶解注射に関する見解.
※12 TGA/Belkyra Data Sheet.
※13 FDA Clinical Pharmacology Review.
免責事項
本記事は最新の臨床試験やガイドラインをもとに執筆していますが、効果や副作用には個人差があります。脂肪溶解注射を検討される場合は、必ず医師にご相談ください。





